美ヶ原温泉二日目の朝

携帯電話の残り少ないバッテリーを酷使して、いつもの時間にアラームが鳴る。切っときゃよかった。
ご飯の前に朝風呂へ。普段、朝にシャワーを浴びる習慣なのだが、「朝シャワーを浴びる」「朝風呂を使う」事の意味の違いを、はっきりと思い知る。シャッキリと脳も身体もお目覚めを迎えるし、心地よい高揚感というものもあるのだが、生産性とか勤労意欲といったやる気は皆無。朝からゆったり湯船につかるとは、実に心と身体に宜しいことだが毎日やったら、朝寝朝酒抜きでも確実に身代潰すな。(w。
朝食まで見るともなしに「ウルトラマンマックス」を見る。くのいちだのゼットンだの新しいにせウルトラマンだの入り乱れて非道い有様。にも関わらず、なんか全てがどぉでも良いという気持ちにでいられるのは、我ながら驚き。温泉パワー恐るべし。


旅館の朝飯が美味いぞ!あんた信じるか?

自分でも、ちょっと信じられない@大西荘。一泊二万円とか、そういうクラスの旅館のレベル。でも、食材が高いわけでは無く、サービスと料理人の腕がレベルが高いので、価格はお安目。。。ちゅうか、夕食と合わせても「いいのか?」という感じがする。いいとこ見つけたなぁ。
朝食の献立は、以下の通り。

  • 塩鮭の切り身
  • 温泉卵
  • シーザーサラダ
  • 野菜の味噌漬け味噌
  • 山芋の千切り
  • 漬物
  • ご飯
  • 味噌汁

味噌汁の実は、冬瓜!大好きなんだよなぁ、冬瓜。家では、いやがらせか?というぐらい使われない食材なのだが。なんでこんな事で喜ばなきゃいけないのかと、ちょっと悲しくなる。美味いだけに、よけい悲しい。
ご飯は例によって御櫃に移してあるのだが、温かいのだねぇ。ギリギリに移してくれているのであろう。細かい心配りが嬉しい。ツヤツヤのご飯*1と、味噌汁と漬物だけでも行けそうな気配が濃厚なのだが、そうは問屋が卸さない(w。

塩鮭の塩加減がすこぶる塩梅よろしい。旅館の朝食の鮭といえば、塩田で化石になったような代物が記号と化しているが、こちらの鮭は塩加減において実に美味しいのだ。
冷めたご飯に生卵とか、変な玉子焼きだったり、冷め切った目玉焼きもどきが出てきたりと、旅館の朝ご飯の卵ってのは食えたものではないものが多いのだが、温泉卵というのは嬉しい。作るほうの手間はえらく掛かるわけだが、こいつをご飯に乗っけて醤油を回しかけると、ウマー。醤油も味わいが濃厚なので、こんなシンプルな食い物が至上の味に思えてくる。こういうのは旅先では初めての経験だ。
そして。。。。朝から曲者の味噌!牛蒡と人参の味噌漬けを刻んで、つけた味噌ごと供しているのだがこれがねぇ。。。。。。これだけでご飯三杯は行けるね。激ウマ。まぁ実際、御櫃を空にしてしまったわけだが。家で食う普段の朝食では一杯でお腹一杯ちゅうか、食欲が失せてしまう。先の冬瓜の件とか、温泉卵の気配りとか考えると(ry。


*1:これも、家では望むべくも無い炊き上がり。実家に戻って三年たつが、食事の環境はきわめて劣悪であることを、改めて思い知ったよ。早く一人暮らしに戻りたい!

信州の秋空に「松本丼」を追え! 序章

美味しいご飯をたらふく食ったところで、習慣でつい、ふじーさんとこの掲示板を覗いてしまう。。。。電池無いのに(w。
常連のけいちゃんから、新名物「松本丼」というのがあるらしいとの情報を得た。トンカツをどうにかしたようなものらしいのだが、詳細は不明。そういえば、松本到着時にバスターミナルと隣接するスーパーの惣菜売り場にあった、チョココーティングしたようなトンカツがあった事を思い出す。トンカツが熱いうちにソースをかけ、一晩寝かしてから炊きたてご飯に乗せて食うのがなかなかオツというのは池波正太郎先生がエッセイで記されていたなぁ。これのことか?
好奇心には滾るのだが、チョココーティングというイメージと、地政学的には名古屋文化圏にあたる長野という土地柄から、味噌カツ調のものを想像してしまう。松本丼、それは神の恵みか?悪魔の計らいか?


精神的貧乏人、城下を駆ける。

本日は、美ヶ原高原美術館に行ってみようと。自然遊歩道もあるので、一日マイナスイオンを浴びて過ごそうと思ったのだが。。。。
へ?高原行きのバスって日に三本?松本の駅まで戻らないといけない?しかも一本目は7:30?orz。
まぁ、当初はずっと宿に引篭もって、湯に漬かって本読んでようくらいの勢いでいたのだから、しょうがないね。逆に、バス待ちの時間に市内を見て回れるし。というわけで、路線バス*1に揺られて松本市街へ。まずはauショップに飛び込み、三十分ほど携帯電話を充電*2する。その間に「松本丼」の手掛かりを訪ね歩くが、これは別項にて。
一応、フル充電の携帯を持って目指すは松井城。例によって見当違いの方向に歩き出して、途中で道を聞いたコンビニのおばさん*3に笑われる。
おばさんに教わったとおり、市中を横断する女鳥羽川に沿って歩いていく。川沿いの道にはそこかしこに河川敷に降りられる階段がある。せっかくだから川原に下りて歩いてみる。蜻蛉だの蝶だのが飛び交い、実にのどか。白鷺や鴨も時折舞い降りる。川原にはゴミ一つ無い。観光地として、市民のモラルの部分まで徹底しているのだなぁと、ちょっと感動。昨日とは打って変わってドピーカンの中、次第に汗が滴ってくる。日中の気温は29度と昨日の天気予報で言っていた。松本市外は立派な都会なのだが、体感気温は26度くらいか。都市環境って大事だなぁ。
松本城に到達する前に、城下町として開けたという繩手町商店街に行き当たる。女鳥羽川の土手に開けたところなので、蛙との縁は深いらしく、蛙が町のシンボルとなっている。

商店街の入り口には、いきなりソソるモニュメントが!よく見ると、お祭りの時に使った山車の様である。材質も発泡スチロール。蝦蟇を組み伏せている殿様蛙は、侠客である。立派な彫り物が男前。元ネタの題材が不明なのだが、歌舞伎的グランギニョルがユーモラスかつパワフルにまとまっていて、すばらしい。

繩手商店街のたたずまいは、城下町的雰囲気を醸し出す為に観光的に整備されたもののようだ。川のせせらぎを聞きながら仲見世を行くのは、中々オツな感じがする。本当に商店街だなぁというのは、土産物屋しかないわけではなく、金物屋だの古本屋だの総菜屋だのが軒を連ねている。ついふらふらと古本屋に立ち寄ってしまうのは、虎の縞は(ry。
商店街の中ほどには、松本中劇という映画館がある。。。あった。もう閉館してしまった、町の映画館なのだが、未だ最後の上映作品の看板が掲げられたままだ。ラスト・サムライ『ハリウッド的殺人事件』が最後のプログラムというのは洒落が利いている。さて、その看板なのだが、これ。わははははは。誰やねん、コイツら。まさか信州の山奥で弥生座派の絵に遭遇しようとは。業の深いことである。

四柱神社にお参りしてから、いよいよ松本城へ。山と市街と日本風の城が一望に見渡せる環境というのは、なんとも味のある風景。先だっての「パチ怪獣サミット2005」がなんとなく思い出される(w。そうだねぇ、Photoshopを導入して、オリジナルのパチ怪獣ブロマイドでも作ろうかな?とふと思う。練習素材用にと、パシャパシャ撮る。まぁ、320万画素の携帯電話でPhotoshopもねぇか。
お堀には、鯉が放されているのだが、こいつらが観光俗化の権化みたいなヤツで、餌でもまこうものなら、ゴンズイ玉みたいになって寄ってくる。かなり気持ちが悪い。のどかに水面を行く鴨を追い散らす様は、怪獣みたい。そんな中を「我関せず」と悠々と泳ぐ鴨が一匹。男前である。

*1:これは、15分に一本走っている。

*2:のんびりしに来たのに携帯にこだわる都会人の浅ましさ。。。。ではない。デジカメとして使用するためである。

*3:ゴジラ』の女性議員の頃の菅井きん似。

信州の秋空に「松本丼」を追え! 脈動

デジカメ携帯電話の充電をするためにコンビニに行く*1が、充電器設置しておらず。残量僅かのバッテリーを気にしながら、auページから松本市街のauショップを探り出した。道すがら、町並みを注意深く「松本丼」の三文字を探して歩いて回る。無い。市街地の規模にしてはとんかつ屋率が高いのだが、ソースカツ丼はあっても松本丼は無い。ちなみに味噌カツも無い*2ソースカツ丼を松本丼として売り出そうという目論見ではないようだ。
ショップに到着し、充電時間を30分として更に探索。けいちゃんは「新名物として売り出し」と書いていた事を思い出した。名物ならば観光案内所!初心に帰って駅前の観光案内所に行ってみた。案内所のお姉さんは快活に「あぁ、アレね!」と打てば響く回答をしてくれた。だが、「どこで食べられますか?」というこちらの問いには、「う〜ん。。。」と煮え切らない。どっちやねん。20分くらい歩くと「もうり」という食堂があって、そこだと確実にやっているんですが。。。。」おぉ!でも、「確実に」の後煮え切らないのはなんでやねん!
お姉さんはおもむろに観光地図を取り出して、力強く「もうり」の位置をマーキングしてくれた。「ここ、蟻ヶ崎高校っていう高等学校のまん前なんですけどね。。。。。」なるほど!あいや、全て飲み込めた。学生向けの店だから連休中は休みの可能性がある、そういうことだね!「これから行かれるなら、その可能性はありますね。でも、歩いて20分だし*3すると「松本丼」とは、食欲真っ盛りの学生の為に考案されたローカルメニューが全国区の野望を抱いたものなんだね。では、具体的にどんななの?「いろいろ。。。乗ってるらしいですよ。。。。」また、煮え切らない。横で聞いていたもう一人のお姉さんがウナギとかね」。ウ、ウナギ。精が付きそうだね。とかって事は他にもなんか乗るのか?トルコライス調*4の物なのか!?
それ以上の情報は、流石の観光案内所でも得ることはできなかった。だが、これは大きな一歩だ。「松本丼」は存在する。しかも、食べるあてはあると。これだけでも大収穫ではないか!
あぁ、心晴れ晴れとしたところで、タイムアップ。バスの時間が迫ってきたので、美ヶ原高原に向かうことにしよう。


*1:家庭用電源からの充電器を持っては来ていたのだが、前の機種のもので汎用性が無かったのだ(--凸。電池式の充電器は家にあるので買いたくなかった(爆)。貧乏性と迂闊の故である。

*2:味噌は信州の名物だし、味噌漬けの豚肉をカツに仕立てたら美味いと思うのだがなぁ。松本の方、いかがでしょう?絶対、名古屋の味噌カツを駆逐できると思うのですが。

*3:まぁ確かに毎日最寄り駅までそのくらい歩いてるさ。でも、田舎の人が事も無げに、20分歩くと口にするのは、正直びっくり。市内の交通網が発達していないので、メインの足は自家用車となる故、地方の人の方が目的地までの徒歩での所要時間は敏感なのだ。俺の経験則では、仙台市民の我慢の限界が徒歩十分だった。

*4:この時点で、学生向けのメニューとしてはえらくコスト高である事に気が付くべきだったのだが。。。。

そして、幽玄に向けてバスは行く

松本のバスターミナルから、バスに揺られているうちに、このままどこか、この世ならざるところに行ってしまうのではないか?という気がしてきた。市街地を抜け、住宅が見えなくなり、まばらにあった畑やペンションも姿を消し、牛が草を食む風景も途切れ、視界には道路と樹木しかなくなったが、バスは坂道を登る一方。高原=平地の気配すらない。そして、空はいつの間にか雲が覆い、ちょっと怪しい雰囲気に。ウィンドブレーカーを宿に置きっぱなしにしてきたことが悔やまれる。
「窓開けてください」という運転手の指示が出る。つまり、エアコンの設定温度である25度を外気温が下回ったということだ。日中の気温が予報では29度だったから、5度以上の温度差があることになる。「下のほうを少しだけ開けてください。スズメバチが入ってきます」との事。あぁ、そういえば地蜂を食うのも長野だったなぁと思い出す。いつぞやの蜂酒の馥郁たる香りが蘇る。帰りに松本で蜂食って帰ろうと決心をした。
さらに小半時、バスは進む。空が間近になったように感じられる。道路に出ている標高を示す標識をふっと見ると、標高1,800mと。まだ肌寒いまでは行かないものの、改めてウィンドブレーカーを忘れてきたことを後悔する。これで降られたら確実に風邪っぴきだ。靄が立ち込めはじめ、あっという間に霧になり、なお後悔に拍車をかける。
漸く、バスが止まったところは、山小屋の前。一緒に乗っていた観光客がゾロゾロ降りていくが、これはまだ途中駅。高原美術館は終点なのだ。あたり一面ガスが立ち込め、精神的にもうそ寒いものがある。俺を含め4人ばかりの乗客を乗せて、バスは再び走り出した。が、すかさずUターン。そこから5分も掛からないで、終着駅である美ヶ原高原美術館に到着した。


雉そば

麻の葉@美ヶ原高原美術館にて昼食。

とりあえず、腹ごしらえ。信州に来たから蕎麦食いたい。というところで、雉肉入りというのが珍しくて、頼んでみた。冷酒一合もつけてみた。酒は地酒なのだが、醸造用アルコールとか使ってて、美味く無し。
雉肉は、。。。加熱しすぎか、ややパサついた感じである。臭いもややあり、野趣溢れる味わいと言えなくも無い。ただ、蕎麦がいかんネェ。まぁ、観光施設に併設された食事処なのでそんなに期待はしていなかったのだが、もっちゃりした食感は、東京のちょいと気の利いた立ち食い蕎麦と変わらないかもだ。まぁ、旅の思い出ということで。
食事中に、ガスが大分晴れて、展示品のオブジェが一部、散在している様を見渡せる。わずかに麓近くの景色も見える。幸先良しか。


標高二千メートルのデザ・バリモ 美ヶ原高原美術館

そういえば、バブル真っ盛りの頃、頻繁にオープン記念のCMを目にしたなぁ。鹿内一族が、金にあかして作った屋外美術公園だった事を思い出す。歩き出しているうちに、またガスが立ち込め始めるが、幸いにして気温はそんなに低くない。
現代彫刻だけを収蔵しているので、全体に脈絡がない。だが、歩みを進めるごとに、異様なオブジェが靄の間に間に現れる景観は、とても面白い。モダンアートというのはどうにも性に合わないのだが、屋外にあるという事で、こうも親近感を抱けるものなのだなぁ。もうはしゃぎまくって、ケータイデジカメでばしゃばしゃ撮り捲くる。が、どうしても、画面が暗めになってしまう。ガスが立ち込めているとはいえ、屋内より遥かに明るいのだがなぁ、残念。

歩けども歩けども異形の群れ、尽きることがない。それぞれに尤もらしいタイトルが冠せられているが、製作者の意図だの込められた真意だのは糞食らえ!設置という形で製作にピリオドが打たれた作品は、最早作者のものではない。観る者の印象や主観によってのみ、その存在に意味が付与されるのだ。そういう意味では現代芸術において、最もコンテクストの頸木から遠いところに存在するのは、彫刻なんだなぁと思った。
標高二千メートルという立地は、初夏から秋の始まりまでしか人が入ってこれない。展示品が展示品である為には、見る者の存在が不可欠である。これから始まる長い冬の間、この美術館の収蔵品たちは純粋に「存在」でしかない。観察者がいない以上、意味も価値も付与されないのだ。と思うと、得も言われぬ寂寥感とともに、今ここで見られている彫刻たちの存在感はいやまし、狂おしいほどの愛おしさが込み上がってきた。

などと、小難しい言葉を小悧巧ぶって並べ立てなければ、感動を言い表せないのは、俺の穢れなのだろう。庭内のそこここで発せられる、「おっぱいでけぇえ」とか「お母さん、ちんちん」とか、あるいは言葉すら知らぬままにただ泣き出し笑い出す、家族連れの子供の有様が羨ましいのであった。


馬刺しと蜂の子

松本市街に戻りついたのが17時頃。夕食は7時だから、すぐ宿に戻っても時間を持て余すし、なにより携帯電話のバッテリーがすっからかんだ。だによって、auショップに行き携帯の充電をしつつ、市街を子一時間散策する。夜になりボチボチ開き始めた居酒屋の店頭メニューを見ながら、松本丼と蜂の子を探す。結局、松本丼は見つからなかったが、蜂の子と馬刺しを看板にしている居酒屋を発見し、そこで晩酌してから宿に戻る事にした。
auショップのすぐ近くの小路にある、居酒屋太助。カウンター脇の柱に、なぜかカルーセル麻紀の三社札が貼ってあった。来たのか、カルーセル。なぜ、三社札?と、いらんところで掴みはOK。

広田泉という地酒を一合と馬刺し。サシが良く入っている。。。。市街の馬刺しを供する店はいずれも「高級霜降り馬刺し」と銘打っているが、馬刺しは「サシが無い」ところが身上なのではないのか?あぁ、なんか突然思い出したよ。学生時代に松本に来た事がある。当時の先輩*1の実家が松本で生肉店をやっていて、卸したての馬肉に本山葵を付けてたらふく食ったのであった。その時、馬肉はサシが無いから刺身で美味いんだとつくずく感心したのだったよ。

サシの豊かな馬肉は。。。不味くは無いけれど、山葵では食べられないなぁ。降ろし生姜と茗荷の千切りがいい塩梅であるが、それだけクセがあるということだ。
暫くの後、待望の蜂の子登場。ただ炒ってあるだけなのだが、ウマー!!上等の卵豆腐から、だしと卵の香りを抜いような、淡い香りと味わいだけど、旨みは濃厚にして後口良し。想像していた以上の、上品なお味であるよ。小ぶりの白い粒と大振りの黒い粒があって、見た目は米になんか穀物混ぜて作ったピラフみたいである。白い方が蜂の幼虫。黒い方が、蜂の蛹。。。。ちゅうか成りかけ。白いのだけよって食べると、ちょっと湿気気味のポップコーンの柔らかい所だけ食べたような食感で、もうパーフェクトな純粋旨味。黒い方だけよって食べると、ごくごく僅かに穏やかに海老っぽい香りがして、食感もショリショリした感じ。そうか、海老、蟹の風味はキチン質によるものなんだねぇ。


*1:地味目だったけど、綺麗な人だったなぁ。もう連絡も取れないが、お元気かしら?

二日目の晩御飯@大西荘

予想外に時間を食って、19:30ころ宿に戻る。今日の献立は次の通り。

  • 向付け ブラックベリーのゼリー寄せ/インゲン?の味噌和え/時候坊のポン酢降ろし和え/鱈の治部煮っぽいもの
  • 焼き物 車海老の塩焼き
  • 御造り イカ/マグロ/ハマチ
  • 煮物  茶碗蒸し
  • 鍋   茸と蛤の土瓶蒸し
  • 小鉢  茄子の味噌炒め
  • オーブン ジャガイモのピザ
  • ご飯
  • 椀   三つ葉と豆腐の味噌汁
  • 漬物
  • デザート 葡萄

海のものが多くて、ちょっと(´・ω・`)。だが、御造りを乾かないようにかつら剥きにした大根で覆ってある気配りが嬉しい。向付けの皿に盛られた、鱈の切り身が変わった料理。治部煮調に、茹でた後で溶いた葛をまぶして固めたような感じで、結構手が掛かっている。味わいは淡白で、酒を選ぶと思う。ブラックベリーのゼリー寄せは、結構チャレンジャブルな構成かもだ。まだ熟しきっていない、独特の赤色がなんとも美しいブラックベリーの実を軽くシロップで煮て、ゼリー寄せにしたおしゃれさんな料理。ベリーの香りは鮮烈で、箸休めとしてはとてもインパクトがある。が、本日は魚主体の、それも淡白な味付けの仕事なので、文字通りの甘く危険な香りがしますた。

茶碗蒸しは、まぁ、普通に良くできた茶碗蒸しなのであるが、だしでできたあんをかけてあるのが千両。TVのグルメ番組とかでしかお目にかかったことが無い料理方法なので、ちょっと感動。土瓶蒸しは、「すわ、松茸か!」と思ったが、それは流石に図々しすぎる期待であった。舞茸としめじと蛤を土瓶蒸しにしたもの。長野では蛤の潮の香は期待できないものの、あの独特の旨味と舞茸の風味は好相性。あとから出てきたジャガイモのピザは、生地にあたるジャガイモを、ハッシュドポテトに仕立てたものであった。見えざるところでよい仕事である。

そして。。。ご飯に注目!桜の花の塩漬けが一輪、乗っかっているんだねえ。見た目も美しいが、椀の蓋を取ったときに僅かに桜の香が鼻をくすぐり、一瞬季節感が狂ってしまった。桜の花の塩漬けなんて、春以外に食すものだから、なんら間違ってはいないのだけれど、季節的には間反対のタイミングでの桜の香には、ちょっとクラクラきましたよ。口に入れると、なお強烈な桜の香がして、品の良い塩加減の味わいとともに、すごい贅沢している気持ちになりますた。