標高二千メートルのデザ・バリモ 美ヶ原高原美術館
現代彫刻だけを収蔵しているので、全体に脈絡がない。だが、歩みを進めるごとに、異様なオブジェが靄の間に間に現れる景観は、とても面白い。モダンアートというのはどうにも性に合わないのだが、屋外にあるという事で、こうも親近感を抱けるものなのだなぁ。もうはしゃぎまくって、ケータイデジカメでばしゃばしゃ撮り捲くる。が、どうしても、画面が暗めになってしまう。ガスが立ち込めているとはいえ、屋内より遥かに明るいのだがなぁ、残念。
標高二千メートルという立地は、初夏から秋の始まりまでしか人が入ってこれない。展示品が展示品である為には、見る者の存在が不可欠である。これから始まる長い冬の間、この美術館の収蔵品たちは純粋に「存在」でしかない。観察者がいない以上、意味も価値も付与されないのだ。と思うと、得も言われぬ寂寥感とともに、今ここで見られている彫刻たちの存在感はいやまし、狂おしいほどの愛おしさが込み上がってきた。