『小さき勇者たち ガメラ』
苛烈な怪獣描写と素直に泣ける夏休みモノの融合。涙と鼻水にまみれる後半四十分
@MOVIXさいたま。
母を失った悲しみから逃れるために、へんにひねこびた大人っぽさを見せる主人公の透少年は、ガメラの子供と出会うことで、次第に年相応の子供っぽさを取り戻していく。そして、ガメラ対ジーダスの決戦を見届けることで一つ大人になる。その過程には、繰り返される因果の環が重くのしかかる。母を失い、そして、姉の様に慕う少女を失うかもしれない少年の悲しみと不安、そして、少年の心を開いたガメラの運命。だが、因果の環は、閉じた循環ではなかったというカタルシスに結びつけるプロットは、実に緻密で見事なものであった。透少年がガメラと過ごした日々は、劇中の設定では夏休みの出来事であり、俺好みの見事な夏休み映画でもあるのであった。
クライマックス、いまだ成体に至らないガメラを、成体となったジーダスが徹底的に痛めつける*3。ガメラを成体にする為に、二大怪獣の激戦区名古屋に向かった透少年に、「もうお前たちがどこうできる問題じゃないんだ」と諭す父の言葉は、二重に重い。だが透少年は、父の言葉の意味を汲み取り、それでもなお、ガメラを助けるために死地に向かうのだ。。。父と二人で。。。。。
歴代ガメラの中で、最も美しい回転ジェット、今日只今塗り替えられた史上最高峰の怪獣描写*4、幼馴染のお姉さん麻衣を好演する夏帆の石橋けいに通じる清楚な魅力と、見所テンコ盛りの大傑作であったよ。平成ガメラに熱いモノが込み上げてくる向きは、是非見に行くべし。