身動きできません!

楽天のユーザー評価には「美味しい料理」という意見もあった。確かに美味しかった。そして、量もハンパではなかった。

  • 向付け う巻き/きのこのポン酢おろし和え/沢蟹の素上げ
  • 焼き物 ぶりのホイル焼き
  • 御造り イカ/マグロ/ハマチ
  • 煮物  ラフテー
  • 鍋   すき焼き
  • 肉   チキンの香草焼き生タイム添え
  • ご飯
  • 椀   豆腐と茗荷の味噌汁
  • 漬物
  • デザート りんご

という献立。ご飯と汁物、肉は後から出てきた。

向付けのきのこは、じこうぼうというもの。時候坊と漢字で書くらしい。これは信州での呼び名らしいが、何とも赴きのあるネーミングセンスである。湯がいてあるとのことで、ぬめりの無いナメコのような味わいだが、歯ごたえは高野豆腐に似たシャキシャキ感で、面白い取り合わせ。

沢蟹を口にしたのは三十年振りくらいか?しかも、ちゃんとしたのは初めてかもだ。見た目がラブリーであるが、そんなことで箸を止めるヌルイ感性は持ち合わせていない。
が、裏返して見たいというお子様な性根は、大人になっても治らないのだった。オスだねぇ(w。ふんどしがキレイにぱかっと開いていた。噛み砕いていくうちに食感が、パリパリからシャリシャリになり、ショリショリとなる頃には、蟹の香ばしい香りと旨みが口の中にいっぱいになる。流石に川のものだけあって、潮くささは全くなし。
ホイルの中身は、ぶりの切り身。軽く醤油を回してあるだけである。上に載っている椎茸は土地のものであろう。味が物凄く濃厚。生なのに、干し椎茸の吸い物よりも濃い感じの旨みが、舌を突き抜けて直接脳に行くみたい。目の前が一瞬真っ白になったよ。ウマー。ぶりもまたこの椎茸の旨みをいい塩梅に身に吸い込んでいて、品のいい仕上がりになっていた。

御造りは、まぁ山間で食うものでもないのだが、イカのミミ*1イカそうめん状に降ろしているところが千両かも。耳は生で食べることがあまり無いので、ちょっと感動。
ラフテーは、ラフテー調と言った方が正しいかも。さっぱりした味わいの甘露煮状の仕上がりで、美味い。すき焼きの割り下も、甘味さっぱり目で美味かった。チキンは皮パリパリ、肉しっとりの上々の焼き上がり。生のタイムが添えられていて、好みで一緒に食べても良い。これは、鮮烈な香りで中々良いものなのだが、お膳に付けて貰った日本酒の味わいを壊すので、一口で済ました。ちなみに日本酒は岩浪という地酒。やや甘味が勝つけれど、後口はスッキリとした美味い酒であったよ。
さて、料理は肴としてあらかた平らげたところで、ご飯と味噌汁、漬物が登場。ご飯に乗っているのは、山椒の実の佃煮状のもの。色が、緑色を残していて、見た目がとても美しい。甘めの味付けなのだが、山椒の香りとの微妙なバランスがとても良い。味噌汁もすばらしい。地場の白味噌のやわらかい塩味に、濃厚な豆腐の味わいと茗荷の鮮烈な香りの取り合わせが、素朴だけれどとても洗練されている。ウマー。激ウマですよ。『美味しんぼ』じゃ無いけれど、山間の良い水が素材の持ち味を生かしきった、都市部ではまず味わえないご馳走でしたよ。
漬物は、塩味キツめの白菜と、甘い胡瓜と茄子*2のバランスがよろしかった。
日本酒の前に飲んでいたビール中壜が利いて、お腹パンパン。全く身動きできなくなってしまいました。


*1:と俗に言われる、三角形の部分。記号としてのイカアイデンティティの象徴である。一夜干しや煮物にすると最も美味い部位。

*2:全般、甘めの漬物は、蜂蜜使ってるのでは?さっぱりした甘さで、大変に美味しい。