『妖怪大戦争』

作者:荒俣宏
出版:角川文庫

妖怪大戦争
原作なのかノベライズなのか、メディアミックス故の微妙なポジションにあるが、「夏休みモノ」としてのディテールは、当然の事ながら小説のほうが細かい。映画では割愛されていた、主人公のタダシ少年と姉とのやり取りから、麒麟送子に選ばれるべくして選ばれた資質というものが明らかになる。これを複線としてクライマックスで、血の絆の強さと現代的な家族の限界という対概念がほろ苦く描かれているのだが、これはこれで、映画とは違った味わいがあってよい。
また、川姫は大天狗の娘であるという設定が明らかになったり、加藤と川姫の因縁についてつまびらかに語られており、映画*1の補完がなされている。なるほどなるほど、豊悦許すまじ!(wこりゃ、タダシくんでなくても加藤を倒したくなるわな。
他、ラス前の敵が映画と違っていたり、すねこすりが映画以上に痛ましい目にあっていたりなど、細かな違いはあるのだが、一番意外だったのは、日本中の妖怪が東京に集結してのクライマックスであろう。映画以上に三池的バイオレンス描写が繰り広げられる。「盆踊り」と明示しながらなお牧歌的要素は極めて薄く、酸鼻を極める血の饗宴が描かれる。妖怪対ヨモツモノの戦いは、2ちゃんの祭りのメタファだという仮説を俺は立てているのだが、小説版の方がよりリアルといえるかもだ。(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル


*1:川姫のエロい回想シーン