『repulsion 反撥』

さて、見せないことで逆に強烈に印象付けられた狂女の視線といえば、ロマン・ポランスキー監督の『repulsion 反撥』(1965年)が思い出される。御年20才の砌、美しくも愛らしいカトリーヌ・ドヌーブが演じる潔癖症のお嬢さんが、徐々に壊れていくプロセスを描いた、サイコサスペンスの大傑作だ。

ポランスキーはドヌーブの、美しいが、おどおどと視点の定まらない目を徹底して追う事でサスペンスを盛り上げる。一方、ドヌーブの眼差しを執拗に追い続ける演出は、最後の最後まで「ある事を見せない」目くらましとして機能し、仰天のラストへと繋げている。

ポランスキーとTX深夜ドラマを並べるのは少々無謀だが、「パズルの女」が気に入った人は、『repulsion 反撥』を見てみては如何だろうか?構成の巧みさに舌を巻きながらも、ゾワっと全身が粟立つ、スマートでありながら、傷跡にも似た忘れ得ない印象を残す、怖い名画である。

リプルション〜反撥〜

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