『Vフォー・ヴェンデッタ』

仮面のエージェント・スミス101人大行進。『オペラ座の怪人』+『岩窟王』を5で割った感じの、ウスウスユルユル革命妄想。
新宿ミラノ座。

V フォー・ヴェンデッタ
一言で終わってしまう(w。『宇宙戦艦ヤマト』ばりに、物語が始まると同時にイギリス以外の国家が無い事になっている。そのイギリスも、王室もなければパブもフィッシュアンドチップスも無く、霧もなければテムズ川も無い。クライマックスで申し訳程度にビッグベンがインサートされることでかろうじて、「あ、ロンドンが舞台なんだっけ」と思い出される。そしてこの全くダメダメな演出にh笑いドコロすら一つも無い。
アメリカを舞台に、与党に弓引く劇場型テロリストの物語を紡げなかった事は、要はクリエイターの弱腰のなせる業でしかない。所詮はアメコミ原作とはいえ、アメリカ合衆国こそ進化の袋小路に陥った巨大恐竜のごときグローバリゼーションの立ち遅れが読み取れて、ある意味面白いかもしれない。
銭形のとっつぁん役のスティーブン・レイがいい味だしていたところが、数少ない見所の一つ。わりとご贔屓の性格俳優の登板は嬉しかったのだが『ロシア52人虐殺犯/チカチーロ』の役所とビタ一変わっていなかったりするのはご愛嬌。
あ、あと、ナタリーポートマンの顔を極力小さく写そうという演出努力は買いたい。この辺は、ジョージ・ルーカスより遥かにイイ仕事していたといえよう。