『七剣 セブンソード』

腰砕け「空飛ぶギロチンチャンピオンまつり」
べっきいさんのご好意で、お相伴に預かりましたよ。プレミアム試写会@新宿ミラノ

仕事方面、いろいろ蹴散らして、18:00過ぎには劇場に到着したが、その段階で200人くらい並んでいたねぇ。19:00開場19:30開演ということで1.5時間並ばされた後は、ツイ・ハーク監督やらドニー・イェンやらの舞台挨拶実に益体も無いつつがなくセレモニーは終了したが、上映時間2.5時間って。。。。正直引き気味で観始めたのだが、最初のシーンでかなり期待度は高まったよ。
清王朝建国直後という設定で、武術を禁じる禁武令が施行されている中国が舞台となる。七人の侍』のエピゴーネンだということは、タイトルからしてミエミエなのだが、圧政に苦しむのは侍側かよ!!!と、ナイスなボケで掴みはOK。
冒頭はいきなり、中国通々浦々の武術の盛んなスポーティーな村落を攻め滅ぼして生計を立てている悪の剣客率いる傭兵集団のジェノサイドで幕を開ける。「矛盾」発祥の地中国の面目躍如といったところだが、この悪役側の剣客たちがみんなKISSみたいなモノトーンの隈取してて、大変分かり易い。が。。。。。隈取メイクの幹部クラスが十人弱はいるのだな。悪役だということは一目瞭然なのだが、固体識別は人多すぎでほぼ不可能。
その代わりに、それぞれに特徴的な武器が与えられており、そのうち4種類くらいは空飛ぶギロチンなのであった。頭悪ぃい。こいつがビュンビュン唸りを上げて飛び交い、血飛沫飛び散るハデハデな殺戮シーンを期待して、俺の胸は高鳴ったさ。
でも。。。。。変にお芸術してるつもりなのか、すっ飛ぶ首や肢体も血飛沫も、『KIll BILL』比200%ダウンの控えめな描写。地味目の画面だけれどカット割りはやたら早くて細かいために、武器の個体差なんてぇのも判じづらく、悪役側の魅力が著しく乏しい事が始まってものの5分の間に理解できるのね。同じことは、イイモン側の七剣士にも言えたりする。

そして、微妙にだるいテンションで物語りは進んでいくのだが、香港映画独特の「オイオイ」な展開は、絶妙なテンポで配置されており良いアクセントになっている。
済し崩し的に七人の剣士と七本の名剣があっというまに出揃ったところで、急転直下、剣士たちは悪の傭兵集団の拠点にだましうち討ち奇襲攻撃を仕掛ける。この辺は塩梅良くなかなか笑えてかつ盛り上がるのだが、この戦闘で空飛ぶギロチン使いたちは全滅する。
ロシアの鎌状の剣を使って嬉々として頚動脈を切り裂くブル中野ヘアな小雪のネエちゃんが、悪の紅一点として激しくキャラが立っていたのだが、これまた死亡。悪の大ボス以外、戦闘員と呼んでも差し支えの無い没個性的な幹部だけが生き残り、一体この映画はどこへ向かっていくのだろうか?大方の観客とは全く違った意味でハラハラドキドキさせられてしまった。
まぁ行き着く先はラブロマンスしかないのだが、その。。。。。ヒロイン的ポジションの三人がそれぞれに、大笑いさせてくれるのだな、そのロマンスにおいて。
七剣士の紅一点武元英は、役所が菊千代なのでそもそもロマンスが無い。物語前半で、悪のクロスボウ使いに襲われるのだが、ボコにされるだけ。レイープすらしてもらないヒロインって(w。
清純可憐で献身的。恋の鞘当など見せてくれる正統派ヒロインの劉郁芳*1は、実は大竹しのぶ調の悪女でしかも『十三日の金曜日』系の大活躍を見せてくれる。
最も悲劇的であるはずの高麗人の奴隷女、緑珠は、登場早々悪の大ボスにレイープされる。のだが、このレイープシーンが爆笑。ある意味凄惨な描写ではあるのだが過ぎたるはなお、及ばざるが如し。羊の腿の丸焼きに齧り付きながらハメられてもなぁ(w。いろいろあって悲劇的な最後を遂げるのだが、これも爆笑してしまったよ。瀕死の重傷を負いながら何事かを必死に伝えるのだが、韓国語なので味方の中国人には何一つ伝わらない(w。良く出来たコントのようである。さらに、中国人どもは何ひとつ言っていた事を聞き取れてはいやしないのに、息を引き取った途端、全てを理解するのだな(爆。末期のメッセージはなんだったんだと。
そして最後の決戦に臨んで急に、影の薄いやつらが自分語りを始め、キャラクター造詣をとってつける。なんだよ、狼に育てられたとか、守ってやってる村の村長が父の仇とか(w。
いやはやはや、良くも悪くも香港映画的なるもののバイタリティは不滅なんですね。

最後になりましたが、べっきいさん、ありがとう。


*1:演じるチャン・チンチュー(張静初)は、チャン・ツィーイーを陰干ししたみたいな感じで、お笑い度二割り増し。