信州の秋空に「松本丼」を追え! 追跡そして遭遇

昨日のリサーチの結果を踏まえ、アクションターンの始まりである。昨日の半日でざっと市街を見渡したが、松本丼を扱っている店は一軒も発見できなかった。かくなる上は、観光案内所で聞いた「もうり」という食堂が、確実な線であろう。果たしてやっているのか?不安は残るが、せめて看板なりとも発見できれば大収穫である。*1もう、気分は藤岡弘、隊長*2である。脳内に響く『特別狙撃隊SWAT』のテーマ(w。
観光MAPを頼りに、ランドマークである蟻ケ崎高校を目指す。元々城下町である松本市街は、道が碁盤状で大変に分かりやすい。今町通りを直進し、女鳥羽川を越えてずんずん進む。すんすん進むうちに繁華街を過ぎ、地方都市の街道沿いのちっとも面白みの無い風景が開けてくる。車通りにの増加に反比例して、人通りが途絶えてくる。道に迷ったらアウトな雰囲気がプレッシャーをかける。。。。いや、目的地まで一本道なんだけどね、方向音痴の心理とはこういうものなのだ。
そうして歩くこと20分弱、ようやく蟻ケ崎の交差点を発見。。。蟻ケ崎高校は交差点に隣接している。。。そのはす向かいに、あった!?あれだ??喫茶モーリの看板だ!??。「喫茶」?食堂って言ってなかったか、観光安内所のお姉さん。期待と不安に胸は高鳴る。店の入り口は半開きで、人の気配はある。覗いてみると、店主夫妻と思しき初老の男女が食事中だ。時刻は11:30、微妙な時間である。だが、俺に残された時間も微妙なのだ。空振りだったらさっさと良さ気な蕎麦屋を探さなくてはいけないのだから。思い切って声をかけてみた。
「すいません、今日は営業されていますか?」
慌てて立ち上がる、夫婦。
「はいはい、やりますよ
明らかに営業時間外だが、せっかく来たお客は迎え入れる、真っ当な商売人の姿勢である。
「あの、松本丼発祥のお店って、こちらですよね。。。?」
なんとなく恐縮しながら訪ねる俺に、夫婦は顔を見合わせて、一瞬絶句した。二〜三秒だが気まずい沈黙。
「あー、そうだけど、今はやっていないんだよね」
はぅうう!駄目かorz。でも、「今は」って言ったな?やる時もあるのか?旬の食い物なのか!?
またしても心中を見透かされた如く、お母さんの方が、
四〜五年前にね、町興しみたいなんで考えたんだけど、もう止めちゃったの
はい?四〜五年前?只今売り出し中の新名物ではないのか?
「えぇ。。。実は、駅前の観光案内所で、ここなら確実にあるって伺ったんですが。。。。」
「おやまぁ、そんな古い情報。。。。」
きっと他意はないはずだが、状況を愉しんでいる風情だよ、お母さん。「おやまぁ」ってちびまるこちゃんのお母さんかよ!
「はぁ。。。そうですか。。。。ちなみに、どういうものだったんですか?こちらで出されていた松本丼って」
カツ丼なんだけどね。町興しだからさ、土地の物使ってさ」「ウチのは山芋とか牛蒡入れてたのよ」
ははは。。。。夫婦の見事なユニゾンで、明確な回答をいただきました。ウナギなんてビタ一入れてネェ!!!観光案内所で得たデータは、「蟻ケ崎高校前のモーリ」以外、全部でたらめ
「お食事中にすいません。ありがとうございました」
営業用の丁寧なお辞儀をして俺は、もうり食堂喫茶モーリを後にした。
ロマンを掻き立てる確信的な情報を元に現地に赴いた結果、ガセであることが判明するも、存在の足跡だけは確認できたというこの顛末。本当にまんま水スペ探検隊ではないか。。。。。。作っているようだが事実である!という叫びのそこはかとない空しさまで探検隊調である。。。。とひとりごちる脳内の声まで田中信夫Σ( ゜Д゜)。


*1:電話帳で調べて、電話で聞けばよいと思ったのは、全ての探検行が終わってからだ。このへんのうっかりさも、「探検隊」っぽくて良いと思うのだが、いかがか?

*2:言わずと知れた、21世紀版水曜スペシャル藤岡弘、探検隊」の隊長である。