『ノロイ』

Mazudai2005-08-21

「かぐたば」って平仮名で書くと、『北斗の拳』の断末魔みたいだね。(´∀`;

@MOVIXさいたま。
劇場公開作品という枠では、『リング』『呪怨』に次ぐ3rd Waveと成り得る佳作であったと思う。増幅拡散する「呪い」の連鎖を『ブレアウィッチ・プロジェクト』の手法*1で描いているわけだが、「禍具魂」の呪いという超自然的要素を全く否定したとしても、狂気の連鎖は続くという形でドラマが成り立つ構成は、中々のモノである。「電波さん」という現代社会の鬼を描き、妄執はメディアをもってしても解体することがかなわない。犠牲者は常に突発的に理不尽に、その闇に飲み込まれるという恐怖という視点で語ってこそ、Jホラーの新たな潮流としての価値が、本作にはあるのではなかろうか?
その手法を持って一言で「ブレアウィッチ的」とかたずけてしまうのは、安易かもしれない。アルミホイル男のヒトや石井潤子のヒト迫真の演技は無論のこと、松本まりか*2という微妙なポジショニングのアイドルの起用や、劇中でのメディアの扱いのメタっぽさ*3、最小限に抑えた特撮と、商業作品の一線は外さずに「ブレアウィッチ的」なるものを十分に咀嚼して、現代日本に再構築し、ある種のメッセージ性。。。精神病者によって齎される、突発的で理不尽な惨禍の恐怖。。。をも付与しているのである。
だが、個人的にはちょっとノリ切れない。それは、最初から最後までペチャクチャ喋りっぱなしだったウンカのようなバカ高校生の一団*4と隣のバカップルの所為だけではない。仕事柄メディアと接する機会もチョコチョコあるのだが、その無知で傲慢で恣意的で無責任な所業というのを目の当たりにしているため、ドキュメントタッチという本作の手法そのものが阻害要因になっているのだ。なまじ良くできているだけに、俺にとっては致命的だったわけだ。また、まりかの呪を解くために、堀を伴ってダムに向かうところなんぞ、「『キングコング対ゴジラ』*5かよ(w」と、心の中でひとりごちてしまったりな。
特に、クライマックスの堀の襲撃シーン。実に衝撃的な映像であったのだが、これも小林のハンディカムで録画された画像という設定であり、既知外に襲撃されている最中にカメラ構えて、何事かほざいっているいる小林の姿という「引きの視点」で想像してしまうと、もう笑うしかない。『ブレアウィッチ・プロジェクト』のクライマックス*6と同じである。
ただ、まぁ、これは、本当と嘘の見分けの付かないバカ*7対策の演出なのではないかと。精神病院を脱走してきた既知外が、そこいらで拾ってきた石で殴りかかってきて、カミさん昏倒、ガキ頭割られて血まみれ、自分もボコスカ殴られてるというシチュエーションで、村西透よろしくカメラ抱えたまま「まぁまぁ落ち着いて」とか言ってるってぇのは、フィクション以外有得んだろうと。こういう細やかな心遣いも才能のうちかもだ。


*1:マーケティング含む

*2:どっかで観た顔だと思ったら、『六番目の小夜子』に出ていたね。あの段階で既にして、同年代の栗山千明鈴木杏に大きく引き離されていたわけだが。

*3:インターネットを一切排斥しているところが千両であろう。

*4:高校生団体割引が導入された弊害。本来観客動員数を支えているコアな映画ファンの客足を遠ざけることになるような気がするのだが。

*5:「両雄並び立たず。。。となってくれればいいんだがね」by.平田昭彦

*6:涙と鼻汁まみれのヘザーの顔は、実にリアルで斬新なショックを与えてくれたが、夜の森を走りながらセルフ撮りしている「引き」の映像を想像すると、爆笑モンである。

*7:ちょいと猟奇事件が発生すると、映画やゲームの仕業にしたがる人種。。。メディア含む。