『ストリート・ボーイズ』

作:ロレンゾ・カルカテラ
刊:新潮文庫

ストリート・ボーイズ
第二次大戦下、ナチスドイツの制圧からナポリを自力開放した子供たちの物語。史実を背景に書かれた作品ということで、凄く期待したんだが、つまんない。
なんか、映画化前提に書かれてるっちゅうか、シチュエーションが嘘っぽくって薄っぺらいし、科白も妙に芝居がかってるし、もうハリウッド映画的なダメダメさが全編に漂っているのだ。

ナポリといえば古都である。いくらなんでも子供以外に大人が、飲んだくれの猟師とその娘の二人しかいないってことはあるまい。回復不能の病人だけを集めた病棟にも子供のみ。看護婦も医者もいなけりゃ、患者もいない。おかしくないか?

そしてドイツ軍は、いかに地の利を抑えられているとはいえマヌケすぎ。しかも都合よくハイティーンの少年兵が一人だけ配属されてたり。ここで描かれているのは、映画的ご都合主義でしつらえられたシチュエーションでの戦争ごっこに過ぎない。おまけに、戦車は「戦車」としか呼ばれない。作者の手抜きさ加減も鼻に付く。

ナポリに斥候で入り込むアメリカ兵も、都合よくたった一人に刈り込まれ、先述の飲んだくれ親父の娘とキッチリ填める。肩に被弾して、麻酔抜きの切開手術をした直後にだ(w

戦争を美化するってのはこういう事なんですな。

んで、このカルカテラって『スリーパーズ』の作者なのね。単なるショタホモ親父じゃねぇか。