半休とって歯医者さん

こないだ抜けた左上の歯の穴を埋めに、地元の歯医者へ。元々、二十数年前にここで治療してもらった虫歯なのだ。
その時のインプラントの施術が二十数年を経て、歯の磨耗で露出して、咀嚼のたびに不愉快な痛みを持ち始めたので、世田谷*1の某歯科医*2で埋めなおしたところが、わずか二年でダメになったのであった。
台風接近の強い雨風の中をグショ濡れになりながら到着し、南條範夫駿河城御前試合』を読みながら時間つぶし。冷房効きすぎて、腹が冷える。
小一時間の後、診療室へ。外観や待合室、診療室内装のくたびれ方とは対照的に、最新式っぽい治療台に着く。ライトの形がなんだかサイクロン号のエンブレムみたいだなぁなどと思っていたが、冷房強すぎる。結構、腹がのっぴきなならなくなりつつあった。
やな汗をかいているところで治療開始。まず、レントゲン撮影。後、塗布麻酔から注射麻酔を経て、ドリルで残ったセメントを掘削し、仮埋めまでが本日の治療。
いや、イロイロびっくりした。最近は、ドリルの前に麻酔かけてくれるんだねぇ。
また、麻酔の進歩も興味深い。塗布麻酔が強からず弱からず*3、ピンポイントで効く。さらに、患部付近の歯茎の表裏に注射麻酔をするのだが、針がスムースに入ること。針の形状を見たわけではないが、なんとなくカーブしているような感じが、刺さった時にした。もちろん、絶妙の塗布麻酔で、痛みはごくわずか。歯茎に軽い違和感を感じる程度である。麻酔液が数滴口内に滴り落ちたりして、イメージの中では毒蛇の牙がつき立てられてる様な気がした。が、脳内自分ビジュアルは『カンフー・ハッスル』周星馳であった。ちなみに麻酔液は、クミンシードの香りがした。
ドリルも良く考えられていて、削りながら水を噴出するのだね。これでドリルの抵抗感が軽減され、摩擦熱で生じる焼き場に似た匂い*4が無くて、すこぶる宜しい。
ただ、水しぶきが馬鹿にならない。高速回転するドリルでゾル状になった水が、もろに花の中に入ってくる。大きく口をあけた状態で、鼻だけで呼吸するなんて無理。畢竟、口から吸い込んだ息が、水しぶきを鼻の方に追いやるのだ。真面目に、溺れたような状態になった。ゲヘゲヘ咳き込みながら、5回くらいに分けて、掘削完了。あとはちゃっちゃちゃっちゃと仮埋めして、終了。土曜日の予約を入れて、本日の治療完了である。
医院を出て、最寄の駅に向かっていた時に気づいたのだが、麻酔の違和感が全く無い。ホントに医療技術の進歩は凄いなぁと感心したのであった。


*1:そのころ、世田谷通りに住んでいた。

*2:世田谷通りに面した、松陰神社近くの歯医者。当時住んでた賃貸マンションの大家に薦められて行ったのだが、すごい藪。

*3:俺の知ってる塗布麻酔は、口の1/4がデレーンと他人のモノになったような感じがする、ヘビーなものだった

*4:カルシウムを加熱した匂いだね、きっと。