『DAIHONYA』
ダイホンヤ とり みき , 田北 鑑生 おすすめ平均 まず、買うこと。 Amazonで詳しく見る |
タイトルからわかる通り、映画『ダイ・ハード』のパロディである。近未来、活字離れが進んで行った末、本を愛好するものとそうでないものの二極化が行き着くところまでいってしまい、国家は文化保護の観点から「書店管理法」を定める。だが、書籍は読書という目的を離れ、芸術品化したり、投機、フェティシズムの対象と成り果てる。ともない、「書店犯罪」という新たな犯罪が生まれ、これを取り締まる「書店管理官」という治安公務員が生まれる事となった。主人公の紙魚図は、凄腕の書店管理官だ。
地上120階*1を誇る超巨大書店文鳥堂が、社運をかけたイベントの前夜「書店テロリスト」達に占拠される。文鳥堂が主催する超プレミア蔵書展に出展予定の書籍を狙ったものだった。警備の為に文鳥堂に泊り込んでいた紙魚図は、店内に閉じ込められた文鳥堂店員と協力しながら、強力な敵に立ち向かうのだ。
とり・みきお得意の、小技*2のギャグを積み重ねながら、重厚なアドベンチャーフィクションとして読ませる構成になっているのは見事。ストーリー概要からも分かるとおり、バブル崩壊前後に描かれた作品であるが、その面白さの本質は全く色あせてはいない。さらに、先述のニュースのように、現実が十数年前に描かれたフィクション世界に近づいている事からも、今スポットを当ててみても面白い作品であると思う。
ラスト・ブックマン とり みき , 田北 鑑生 |