出版不況下、丸の内・新宿は大型書店戦争

とり・みき田北鑑生『DAIHONYA』シリーズが洒落にならなくなってる(笑)。
まじめな話しをすれば、一口に出版不況ではかた付けていい問題ではない。

  • 活字離れ
  • 新古書店の台頭
  • 万引きの増加
  • インターネット接続環境の整備・普及

といった、社会的・文化的背景を持つ複合要因が、出版不況と書店の凋落の裏にはあるからだ。そういう意味では、出版業界の産業ポテンシャル底上げという意味で、良いニュースと言えるのではないかと思う。
一消費者としては、「お買い物の楽しみ」が増えることは大歓迎である。....そして、マーケティングで飯食ってる身としては、流通システムを抜本的に変えなきゃ、カンフル剤程度の意味しか無いと断言できる。だって、交通費の家計の中で計上しなくてはいけないわけだから、すべての読書家が、この新規大規模店の戦略をユーザーメリットとして享受できるわけではない。新宿または東京が通勤路線途上にある人間だけが、交通費をサンクスコストとして相殺し、大量在庫のメリットを享受できるに過ぎないのである。しかも、移送コストのみで、移動にかかる時間のロスは考慮していない。定期をつかえても、3~40分がわざわざ行ってみる限界ではないか?
また、経験上、紀伊国屋ブックファーストなど既存の大規模店舗ではお目当ての本が無い可能性が20%くらいある。その場合は書店取り寄せという手段に出る事になるのだが、まぁ、早くて1週間は掛かる。esbooksを使えば、中三日で、事実上移送コスト無料24H受け取り可能である。
消費本能を満喫させ、来店キャパと在庫数を解決する店舗ができあがっても、おそらく、ヘビーユーザーのニーズの8割程度満たせれば御の字という結果になるのではなかろうか。東京駅の場合、駅周辺の再開発によるエリアとしての集客ポテンシャルの向上ということで、客数こなす方向で有望かもだが、サービス業のトレンドからすると、そうそう楽観視はできないと思われる。
最後に、ごくごく個人的な感想だが、ジュンク堂新宿店のオープンは大歓迎である。紀伊国屋オンボロエレベーターと客をなめ腐った接客からおさらばできるかもしれないからな。

 全国で書店の大型化が目立ち始めたのはバブル崩壊で商業ビルのテナント料が下がったこの10年ほど。札幌、仙台、福岡など主要都市で大型書店チェーンが出店競争を繰り広げてきた。

 一方、コンビニや大書店に売り上げを奪われた中小の既存書店のダメージは激しく、地方の老舗の破たんも目立つ。1999年に2万2000店余だった全国の書店は、転廃業が相次ぎ1万8000店に減少している。