「会社の顔が見える」、企業での活用が注目されるBlog

blogを企業で利用することの有用性を認めるにはやぶさかではない。だが、危機管理的な視点に立つと、かなり慎重になってしまう。有事の情報の流れの一元化は、あらゆる危機事態における鉄則だが、これが揺らぐことになるからだ。特殊なケース*1を除き、従業員のblogはそれを隠して、企業のコントロール下に置く事が安全対策上、必要だと思う。
例えば娯楽時代劇のフォーマットにのっとり、PR担当者は「隠密blogger」として、一ユーザーとしてblogを運営するのだ。そして、コメントのやり取りはマーケティングデータとして該当部署にフィードバックする。ネガティブな意見や問題点について、企業は改善に向けて黙って動く事で「不言実行」による信頼感の獲得につながるだろう。
コールセンターに寄せられる苦情や問い合わせは、問題が顕在化したにすぎず、改善すべき事案の氷山の一角でしかない。また、新たな商品やサービスのシーズを探るという観点からも同様である。blogでの忌憚のないやり取りは、インタビューに匹敵する突っ込んだ意見を、ユーザーから随時、即時吸い上げられる、重要なマーケティングツールでもあるのだ。
とはいえ、PR担当者は並より言語感覚が優れてはいても、プロのライターではない。隠密の身元が割れて「自作自演」と糾弾される可能性もあるだろう。そこで、企業「隠密blogger」のアウトソーシングというビジネスも生まれるのではなかろうか。


*1:ベンチャー企業経営者やカリスマ販売員など、情報発信者が責任あるPR的キャラクターになっている場合