散歩する

ここ数週間、週末といえば雨が降る。気が滅入る。今日も朝から降っていたが昼過ぎには、重い曇り空だが雨は上がった。昨日の銭湯での一件ではないが、運動不足は自覚している。ので、傘を持って、思い切って散歩に出る。思い切ることも無いのだが。

近所のK公園をブラブラと。噴水から美術館にかけては良く通るのだが、裏の方は、あまり行ったことが無い。ほお、滝なんかあるんだ。近場にこんな光景があろうとは、全く知らなかった。ひっそりとしていい雰囲気。夏場はさぞや喧しいのであろうなぁと思うと、秋の静けさが余計身に染み入るよう。
公園を抜けて、県庁方面へ。なんか、行列ができているラーメン屋発見。噂には聞いたことがある、百歩軒という店だ。なんだか一子相伝暗殺拳奥義のような名前である。
軽くスルーしてテクテクと。埼玉県庁付近というのは、やたら蕎麦屋が多いのだということに気が付く。しかも、9割は本日休業。残る一割も開店しているんだかいないんだか。完全に、県庁関係者及び、来庁者需要だけで成り立っているんだなぁ。こういうところに、さいたま市という街の本質が伺える。元来、中仙道沿いの宿場町として発展していったわけだが、人間の移動速度の向上とともに、いったん足を止める必要が無くなった、単なる通過点になってしまったわけだ。少なくとも俺にとっては、住んではいても生活したい街ではない。

県庁通り沿いで、今頃、向日葵が咲いているのを発見する。夏休みの観察日記とかつけるのに使うのと種類が違うのかな?ゴッホの絵でしか観ないような種類のもの。ビルに挟まれたわずかな地面から伸びている向日葵は、その名の通り無理矢理太陽に顔を向け続けたようで、茎が奇形的に歪んでいる。もしかしたら、この種の特徴なのかもしれないが、なにやら怪奇植物めいた風貌になっている。

県庁通りと旧中仙道の交差するところ、角にあったおもちゃ屋が無くなっている。ビルに建て替えられ、焼肉屋になってしまった。このおもちゃ屋、三年前くらいまではまだ存命だったんだがなぁ。かつてaguireさんと知り合うきっかけになった店だった。あれから25年かぁ。
まだやってたら、久しぶりにさいたまやでラーメンをと思ったが、休みか、売り切れたか、シャッターが閉まっている。このモールの商店も、軒並み休みまたは、廃業している。三年前はまだ、おでん種の店や食堂など休日でもやっていたのだが。
モールを抜けてコルソ前、いっぺん行ってみようと思っていたフレンチの店も建物ごと改修。ちゅうか、ビルが建つ模様。どんどん文化的に寂れていくねぇ、旧・浦和。EUにおけるイギリスかロシアのような斜陽感である。
ヨーカドー前の商店街の小路に、新しい店が三件出来ている。中華と讃岐うどんとイタリアンの店。なんとなく、一番まともそうな中華の店へ。
腹七分の食事の後、中仙道渡って裏門通りに入る。なんかうらびれ感濃厚なうえ、空いてる店殆ど無し。力強く一軒立ちの肉屋があったので、コロッケとメンチカツを買う。アグアグ食いながら、伊勢丹地下に晩飯の仕入れ。小半時、デパ地下巡り。時間帯が中途半端?客足少ないような。三宿吉樂亭のカレーパンとか出店されてて、なんとなくイヤ。ホテルオークラのテイクアウトとかもあったりして。これもなんとなくイヤ。どちらも、もちろん定評の有る有名店だが、ここにあることがイヤ。本当に今一な地方都市感が漂って、気が滅入るのだった。めぼしいものが無い中で、キッシュを買ってみる。
ただ拾い物は、アンリ・シャンパルティエというスィーツの店か。店構えからケース内の商品まで、しゃらくささの限りを尽くしているのだが、まんまと術中に嵌まってしまい、一個購入。ドライアイスまで入れられてしまい、慌てて帰宅する。