やっぱり見えないFeliCaのビジネスモデル

理屈と膏薬はどこにでもつくと。事の焦点は、完全に生活の一部と化したITギアの使い道の次のステップとしてフェリカがあるということである。確かに、ドコモのビジネスビジョンは歯切れが悪いかもしれないし、今までのモデルから外れる試みではあるが、目的が違うのだから当然であろう。

iモードFeliCa発表時に話されたのは、おサイフケータイという生活に密着したサービスを提供することで、解約を減らす狙いがあるということだ(6月16日の記事参照)。「解約する人をどうやって引き留めるかが重要」(マルチメディア&サービス本部 マルチメディアサービス部長の夏野剛氏)。

夏野氏が、らしくないことを言っていることも、混迷を錯覚させる。長期的な視野に立てば、これは、携帯電話の一サービスではなく、金融・経済システムの改革の第一歩なのである。コンテンツビジネスやデジカメ「ごとき」と一緒にされる話では無い。むしろ、携帯キャリア一丸となって推進して行って良いビジネスではないか?

年末にはFOMA 901iシリーズが登場し(7月30日の記事参照)、ドコモの主流がFeliCa対応端末に移っていくだろう。しかしそれによってFeliCaが業界を巻き込んだブームになるかどうかは疑問だ。

リアル店舗などとの連動が前提であり、店舗側のシステム導入はそう簡単には行かない訳で、導入期の、まだ2週間足らずでこういう論調は如何なものかと思うぞ。それに、国家が発行する通貨と兌換性のある新しい通貨を流通させるのに等しい事業なのだ。半年で云々言うほうが間違っている。
こういう記事からミソが付いて、auフェリカ導入を流してしまう事は絶対に避けて貰いたい。